住宅に役立つ情報 住宅リフォームに関して

住宅を守るための「正しい」塗り替え情報

平成21年6月に「長期優良住宅の普及の促進に関する法律」が施工され、住宅を30年で建て壊すのではなく、きちんと手入れして長く大切に使うことの重要性がますます高まっています。外壁・屋根の塗り替えも、見た目の美しさのためだけでなく、「住宅を守るために塗り替える」という意識が大切です。「正しい」塗り替え工事を成功させるために、知っておくべき知識や押えておくべきポイントをご紹介いたします。

知っておくべき基礎知識

基礎知識① どこを塗り替えればいいのか?

どの部分を塗り替えるべきなのかは、業者が必要な判断を行いますが、適切な工事を進行させるためには、発注者側も各部位の名称や種類等の基礎知識は覚えておく必要があります。

基礎知識② 長期優良住宅3つのメリット

少子高齢化の急速な進展や環境問題の深刻化などの社会的経済情勢の変化にともない、国民生活の基盤である住宅の「質」を向上させ、長期にわたる住生活の安定を図る必要があると判断され、制定に至ったのが平成21年に施工された「長期優良住宅の普及の促進に関する法律」です。
長期優良住宅の普及によるメリットは、大きく分けて3点あります。

メリット① 住宅費負担の軽減
住宅を長持ちさせることができれば、頻繁に立て替える必要もないので、大幅に費用を削減することができます。
メリット② 住宅の資産価値の向上
これまでの日本における住宅の資産価値というのは、住宅ローンを返済し終えたときにはほぼゼロになってしまっているような状態でした。 しかし、住宅を長く大切に世代を超えて利用するようになれば、住宅の資産価値は維持され、「住宅=資産」となります。
メリット③ 環境への負荷の低減
住宅関連の産業廃棄物は、建築関連の産業廃棄物の半分以上を占めています。住宅を長持ちさせ、環境への負荷を低減していくことは、地球環境を守るための絶対条件なのです。

業者選びの5つのポイント

塗り替え工事の結果は、依頼する業者によって大きく変わります。実際に業者を選ぶときに押さえておくべき5つのポイントをご紹介します。

ポイント① きちんと診断されているか

最初にチェックすべきポイントは、「住宅の劣化状況などについてプロによる的確な診断がなされているか」、「その診断に基づいた提案が書面で提出されているか」という点です。たとえ診断したのが塗装の営業マンや塗装の職人だったとしても、診断するための専門知識や資格がなければ、正確な診断ができるとは限りません。 診断のプロが行っていない場合、現状報告にしかなっていないことがほとんどで、本当の意味での診断とは言えません。現状をただ伝えるだけでなく、きちんと診断し、提案してくれる業者を選びましょう。

ポイント② 納得できる見積書か

正しい診断に基づいた塗り替え工事の提案書を確認したら、次は「見積り」です。価格の前にまず、診断の内容がきちんと見積りに反映されているかをチェックしましょう。○○塗装工事一式と記載されただけの見積りでは、一見低価格でも、追加工事・追加請求となる危険性が高いといえます。「塗装面積の根拠・各部位で使われる塗料の名前・塗料の缶数」を明確にした見積りを作成する業者を選びましょう。

ポイント③ 工事の品質は確保されているか

安全面や塗布量についてなど、当たり前のことをきちんと守る業者かどうか、確認しておく必要があります。

<安全管理>
職人の落下事故や塗布量が入った缶の落下など、塗装工事には様々な危険があり、多くの法的規制があります。労働安全衛生規則には、ありとあらゆる安全管理についての決まりが制定されています。たとえば、塗り替え工事に必要不可欠な足場については、資格を有する足場業者に設置してもらわなければなりませんが、この足場設置費用を削減しようと、簡易足場を作って作業を行う業者もいます。これは法律違反になるうえ、未熟な足場ではきちんと塗ることができず、塗装品質の低下も招いてしまいます。
<塗布量>
塗料は、メーカーが定めた規定塗布量に基づいて、必要な缶数が確実に現場で使われるようにしておく必要があります。 もし塗布量が守られないまま薄く塗られてしまうと、すぐに色褪せて、住宅が紫外線・排気ガスなどのダメージをストレートに受け劣化していきます。適正な量が塗られてはじめて、その塗料の本来の性能が発揮されるのです。
<職人とのコミュニケーション>
見落とされがちですが、「施主と職人の日々のコミュニケーション」がとれているかどうか」は、工事の品質に大きく関係します。 通常、施主は担当者とやりとりを重ねますが、担当者とばかりやりとりしていても、実際に工事を行う職人には意図が伝わっていないということもあります。 毎日現場に来る職人たちと、少しでもいいので日々やりとりをし、小さな不満や不安を解消していくことが、大きなクレームを防ぐことにつながります。

ポイント④ 塗り替え後の保証はあるか

工事後に不具合が生じた場合を考えて、必ず事前に塗り替え後の保証があるかどうかを確認しましょう。

○保証があり、なおかつ内容が明確であるか
保証書として書面で提出されることも確認しましょう。
○住宅瑕疵保険についての説明がされたか
住宅瑕疵保険とは、住宅の引渡しや工事後に万一欠陥が見つかった場合に、その欠陥を補修するための費用が支払われる保険のことです。 これは業者を通して加入する任意保険ですが、保険加入のメリットを丁寧に説明してくれる業者を選びましょう。
○保証書が本当に有効で、信頼できるものか
もし可能であれば、本当に保証書が有効なものであるかも確認しておきましょう。発注者自身で、業者の会社について調べる、またはその業者が請け負っている別件の工事現場を見学に行くなど、動いて確かめる価値はあります。
○2社の工事保証がついているかどうか
より安心できる保証体制として、施工業者と、その業者が加盟している団体の2社の工事保証がついていれば、もし施工業者に何かあったとしても、もうひとつの団体が保証するため安心です。

保証に加えて、長期的なアフターフォローが会社の制度としてシステム化して行っている実績があり、きちんと人員が確保されている業者であることが理想的です。

ポイント⑤ 契約書は万全か

契約書を書面で提出してこない業者は論外ですが、きちんと国が定めた契約内容に準じている「正しい」契約書かどうか、確かめる必要があります。

  • 特定商取引法に基づいた内容になっているか
  • 最低限必要な取り決め事項である約款がついているか
  • クーリングオフ制度についての記載があるか
  • 契約書の全ての項目について説明を受け、業者と確認し合ったか
  • 契約期間・支払条件など大事なことが全て記載されているか
  • 個人情報の取り扱いについて書面で説明を受けたか
契約書があるからといって安心するのではなく、業者側に都合の良いように作成したものではないことや、必要な項目を全て満たしていることなどを確認して、契約を交わしましょう。

5つのポイントに基づいて全てを満たす業者を選びましょう。また、見積書・契約書の内容を比較検討して、住宅を守る最良のパートナー業者を選びましょう。大切に使われた住宅は、資産価値を維持したまま、ずっと先まで受け継がれ、住まう人々を守り続けていきます。

copyright@社団法人市民講座運営委員会 All Right Reserved.